山暮らしのちょっと怖い話 諸塚村ver

山暮らしならではの「ちょっと怖い話」で、
ちょっとした涼をお届け♪

 

夏になると欲しくなるのが会話の涼、怪談。諸塚村にももちろん「あのトンネルで…」「あそこを通ると…」など幽霊系の怪談もあるのですが、いかんせん小さな村のため幽霊話も「○○さん家の△△さんの話やね」と繋がってしまう為かあまり語られません。

今回は怪談が苦手な方でも問題ない、山での暮らしならではの「あんまり怖くない、でもある意味怖い話」をお届けいたします♪

姿を見てはいけない河童、ひょうす坊

山の中の小さな村、といえばつきものなのが妖怪話。実は諸塚村にも妖怪のお話が伝えられています。

その名も「ひょうす坊」。宮崎県や佐賀県には、ひょうすべやひょうすんぼと呼ばれていて、河童と同一視されているようです。

諸塚村のひょうす坊は、子どもほどの大きさで秋になると山に登り、その時に「ひょーうひょーう」と鳴き声がすることからひょうす坊と名が付いたようです。

小さいながらも力が強く、ひょうす坊の声が聞こえたら急いで屋内に入り大人しくしておかなければならないと子ども達は大人から言い聞かされていたそうで、山の中で建築作業をしていた大人達がひょうす坊の声を聞き、慌てて屋内に入るとそこがちょうどひょうす坊たちの通り道だったようで、集団で家をゆさゆさと揺らされ怖かったという伝承も残っています。

諸塚村のひょうす坊のお話は、村内の方が口伝をまとめて2冊の本にしてくださっています。諸塚村の観光協会があるしいたけの館21にて読めますので、気になる方はぜひお越し下さい♪

 

エンドレスキュウリ

河童繋がりでキュウリの話を。これは、7月に入るこの時期に毎年起こるある意味怖い話です。

ある日自宅に帰ると、ドアノブに袋が掛かっていました。

中を見てみると立派に実ったきゅうり。「たくさん出来たからお裾分けよ」と扉に掛けてくれたであろうあの人の顔が浮かびます。

あぁありがたい。今日は1本サラダにして、明日麺つゆやラー油で漬けて常備菜を作っておこう。きゅうりは洗うだけで食べられるし、食欲が無い暑い日にもちょうどよさそう。そんな風に思いながら翌日。

職場に着くと、スタッフからお裾分け。

「これ良かったら!きゅうりたくさん出来たんです」

昨日沢山もらったとも言えず、まだまだ猶予もあるしで頂いて帰り、野菜炒めやチャーハンに入れてみたりするもあまり減らず、処理スピードを考えたら漬物もあまり増やせないものの何とかそれぞれの使い道が決まったところで、買い物に出た先で久しぶりに会った方から・自宅付近でご近所さんから・知り合いの知り合いから、どこへ行っても巡ってくるきゅうりのお裾分け。今年は特に豊作だったようで、あちらこちらからいただくきゅうり、キュウリ、胡瓜。ありがたい、本当にありがたいんです。なんと言ってもとっても美味しい。ですがもはや主食がキュウリ。昨日も今日も明日もキュウリメインの食卓。ようやく始めた冷やし中華も心なしかキュウリの面積広めです。

美味しく頂き続けて半月ほどで、ようやくお裾分けを頂くことも無くなりエンドレスキュウリ沼から無事生還できたわけですが、この先トマトとナスも待ち受けています。

半強制的に夏野菜のレシピ種類が増えていくこの季節。諸塚村では、嬉しい悲鳴があちらこちらから聞こえてきます。

 

異種格闘技戦!? 鹿 VS 車

諸塚村で良く見る動物No.1の鹿。

夕方に林道を通ると、高確率で遭遇します。多いときは5分おきぐらいの頻度で数匹ずつ見かけることも。

鹿 VS とくれば、猟師さんのイメージですし、鹿より車の方が強いに決まっているのに、対決になるかと思われそうですが、特に軽自動車と鹿だと車が負けてしまうことも多いんです。これ、本当に怖いんです。

離合(車同士のすれ違い)ギリギリな道も多い諸塚村では、小回りのきく軽自動車の需要が高く、特に荷物を沢山載せられる軽トラックが大人気です。

対して鹿は、どこからどのタイミングで出てくるか分かりません。

道ばたに立っている時は安心です。スピードを落として進めば、車とは別の方向に鹿が逃げてくれます。

問題なのは、鹿が車を踏み台にした場合。

例えば、車に驚いて左側の茂みから鹿が飛び出し、車の屋根を蹴って右の森へ逃げた場合、その驚異的な脚力で車の屋根はへこんでしまいます。

屋根ならまだしも、これがボンネットの上やエンジン付近だったら…

場所は、鹿が出るほどの山の中。携帯の電波が届くとも限りません。ほら、とっても怖くなってきませんか?

 

いつか消える道

集落が88もあった諸塚村(現在は84)。広い村内に点在しているのですが、それぞれの集落はどんなに小さくても車1台通れるほどの道で繋がっています。そんな諸塚村は、林道も含め路網密度日本1!車で進んでいれば、どこかには繋がっている状態です。

迷ったと思っても、方角や山の様子を確認しつつ進めば県道か国道に出ることができます。しかし、気をつけなければならないことも。それは、未舗装の道路です。

黒いアスファルトの道は生活道路として舗装され、白いコンクリートの道はその多くが集落のみなさんが自分たちで舗装したもの。どちらも普段使いされることが多い道です。

不安になりながらも舗装された道路を走り、看板に従って進んで行くものの徐々に道の両側が手入れされた様子がなかったり、道が荒れ舗装もなく轍もなくなってきたら要注意。その道は、普段人が通らず先がどうなっているか分からない場合があります。

台風や嵐で通れなくなり修繕が後回しにされている場合もあるため、明らかに人の手が入っていない様子が見て取れた時は慎重に方向転換を行い、元来た道に戻りましょう。立ち往生した結果、連絡も取れず現在地も分からない状態に陥ってしまわないよう、過信せず自分のことは自分で守る選択が必要です。

日曜日はガソリンスタンドもお休みなので、ドライブ前には給油もばっちりにしておいてくださいね。

戦後のダム建設時には8000人もいた村民も、2025年6月には1,200人台に突入し人の少なくなってきた集落も多い中、今後こんな道が増える可能性が高いかもしれないと恐ろしくも悲しい気持ちで過ごしています。

 

山暮らしのちょっと怖い話 諸塚村Ver いかがでしたでしょうか。

人が温かい故の怖い話や、田舎だからこその怖い話などのご紹介でした。

都会で暮らすのとは、全く違う経験ができる山暮らし。

人口が少ないからこその弊害などもありますが、人の温かさや優しさに触れる機会もとても多いです。

どうぞ体験しにおいでください♪